なかでも、Sさんとは特に親しくなった。常にご夫婦で買い物や散歩にお出かけされる。その途中にある消防署の前に私と子がいつもいるので、声をかけられるようになったのがきっかけだった。2歳ぐらいの頃だったと思う。定位置にいる私たちにいつも声をかけてくださり、家の方向が同じとわかったので一緒に歩いて帰ったりもした。
しばらく前に「もし、預け先が無かったりして困ったら電話ください」と言われて電話番号を交換した。家族が佐賀とイタリアにある私たちにとって、こういう言葉はありがたいことこの上ない。とても嬉しかった。
昨日の夕方は、実家から届いたお菓子を持ってお宅に伺ったが、中にまで入れてもらった。子はまるで自分の家かのようにくつろいで、懸命に消防車の話をしていた。
「ずっとこちらにお住まいですか」ときくと、オリンピックの次の年から、だと言う。長い。こうやって生粋の、東京の人と話すことはあまりない。あるとしても若い人だけなので、子育ても終わって引退生活を送っていらっしゃるような人とのお話はたいへん興味深いものがある。
田舎出身の私はどうしても「都会人はお高くとまっている」みたいなイメージを持ちがちなのだが、こうやって良い人たちに会うと、結局どこにいてもベースは同じだし、良い人はいい人だなと思う。時々こういうことがあるのだ。
さて、この夏は帰省を断念せざるを得ず、何をしようかと考えている。都内のホテルに一泊、海の側のホテルに一泊、というのが今のところの案。