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Tuesday, 24 June 2025

『問題は、躁なんです 正常と異常のあいだ』


 土曜日は朝から仕事で、しかし時間があったのでずっと読書をした。春日武彦の『問題は、躁なんです 正常と異常のあいだ』を読んでしまった。久しぶりに1冊いっきに読み終えた。同僚に精神的な不調に関する本を借りたことがあり、そのタイトルはなんだったか忘れたけど躁鬱病についての章をこの医師が書いていたのを覚えていた。先日図書館で見た時にこれは面白いかもと思って手に取った。

「うつ」のほうばかりが取り沙汰されるが、「躁」については問題とされることは少なく、傍目から見ても「元気があってよろしい」となってしまう場合が多い、というあたりからはじまる。具体的な対処法が書いてあるわけではないが、歴史において、おそらく躁の人が起こした事件や問題について具体的に取り上げられていた。内容も面白いが文の書き方が面白い。ユーモアがある。読んでいて引き込まれた。これは笑っていいのかどうか、と思う箇所がいくつもある。不謹慎だと思ったり深刻にとらえる人は多いだろうけどわたしは笑う。ユーモアだ。

こういうのを読んでいると「問題を抱えている人たちはたいへんだな」と思ってしまうが、自分もいつでもそうなりうるということを忘れてはいけない。昨年、村上春樹の『アンダーグラウンド』を読んで思った。その箇所を具体的には覚えていないが「自分はこっち側で、あの人たちはあっち側の人、と思ってしまうこと」について書かれていた。この事件の場合は、オウムであるわけだが、たいていの人は自分がそうなりえない前提でものごとや事件をみる。実際のところたいした壁はなくて、自分は「そうじゃない」と思っていても、そうなりうる。

さてきょうはちょっと涼しい。朝から忙しいが、きょう夜寝ることを楽しみにして1日を生きる。

Friday, 29 November 2024

おこのみやきつくろう


「そういえばおこのみやき食べたことないかもね」


月曜の朝、長時間を小児科で過ごしたときのこと。待合室にある絵本を何冊も読んだ。なかにはおなじみの「ばばばあちゃん」シリーズがあり、すべて読み切った。「読んで読んで」と子が持ってくる。そのうちのひとつが「おこのみやき」の話だった。読みながら「おいしそう〜」という子。そういえば、作ってあげたこともないし、私もおそらく家で作ったことはない。外に食べに行ったこともない。もしかするとこの子が生まれてから以降、我が家の誰も、一度も食べたことがないのではないか。
「そっかー、じゃあ今度作ろうねえ」
その日はそれで終わった。

子が無事に、ふたたび学校へ登校した水曜日はおどろくほど暖かい1日だった。家にいられたので、買い物は朝済ませた。すると豚バラが割引。「…あ、お好み焼き」と思い出した。Today is the day きょうこそその日ではないだろうか。

何が必要か、スーパーに売っているお好み焼きソースやお好み焼き粉の裏に書いてある材料を参考にしてとりあえず基本のものだけ手に取った。

ソース
豚肉
キャベツ

これがあればなんとか作れる。ばばばあちゃんの本では小麦粉を使っていた。お好み焼き粉じゃなくても作れるだろう。

その夜、オタフクソースのウェブサイトを見ながら作ってみた。ホットプレートがないのでフライパンを使った。キャベツが多いので「生地」っぽさがない。もはやキャベツにからまった生地、という感じ。ひっくり返すのもうまくいって、2人で拍手した。

2枚焼けたが、これが思った以上に美味しかった。こんなにおいしいなんて、驚いた。生地が「キャベツ」なので、全然重くない。おいしい、おいしい、と言って2人で食べた。私は最近イタリアから届いたパンドーロを食べ過ぎているのと、そもそも昼ごはんにランチビュッフェなんてものを1人で楽しんだので、夜は食べないでおこうと思っていたのに、焼きたてのお好み焼きに抗うのはとうてい無理だった。



こんなに簡単でおいしいんだったら、また作ろうね、と言って満足して夕飯を終えた。 

子の「はじめて」に立ち会うのは興味深く喜ばしいことだがこれまでその多くは「食」であったと思う。4歳ぐらいのときにハンバーガーを食べに連れて行って、本人以上に私が喜んでいた気がする。この子の、体験の幅が広がると思うと嬉しかった。ここ最近は、さすがに8年も生きていて、あまりそういう経験がなかったような気がする。給食でもいろんなものを食べているだろうし。そんなときにこのお好み焼きの体験は私にも子にも新しく、嬉しかった。シンプルだけど、嬉しかった。

Thursday, 26 September 2024

「アンダーグラウンド」村上春樹

 少しずつ読んでいた、村上春樹の「アンダーグラウンド」を読み終えた。1週間なにも読まないときもあるくらいなので、3ヶ月くらいかかった。夏休みに結構読み進めた。電子書籍なので、いつの間にか終わりがくる。著者によるあとがきがたいへん深いものだった。読んでよかった。久しぶりにズシンとくるものを読んだ。すべての村上作品、ことばに通じている一つのものがあると、あらためて思った。これが書かれたのが1997年。そこからこれだけの歳月が経っても大きく響く。その時に読んだらまた違ったのかもしれないけど。すごい作品を残したものだと思う。マスメディアで報道されることではなく、そのとき地下鉄で「ほんとうに」何が起こったのかを知りたかった、という村上さんの、この本を書くにあたっての動機だが、実際にそのとおりにできているのだということがわかった。アンダーグラウントという言葉が、「地下鉄」という意味だけではないということも、あとがきまで読んでわかった。

さて、きょうはきのうより5度くらい暑くなるらしい。いってきます。

Wednesday, 17 July 2024

『アンダーグラウンド』村上春樹

 村上春樹の作品は全部読んできた。ひとつを除いて。それが「アンダーグラウンド」だった。地下鉄サリン事件の被害者へのインタビューを集めたものだ。読むと絶対につらくなると思ったし、どうも向き合えなかった。あの厚い本を見るたびに「これは無理だ」と、読むのを避けてきた。

6月末、電車で出かけるので本を読む時間がたくさんある、という日があり、kindleで何か買ってから行くことにした。迷ったけど思い切って、ついにアンダーグラウンドに手を出したのだった。

最初の「千代田線」から読み出したが、乗っていた電車もまさに千代田線で、通った駅も「霞ヶ関」で、なんだか動悸してきた。気持ち悪くなってきて、すぐにでも地上に出なければと思った。こんな街に住んでられない、と。

その後、いつの間にか次々と読んでしまった。事件そのものよりも被害者の人々にフォーカスした本だ。読んでいくうちに、最初に本に対して抱いていたイメージが変わってきた。読み始めてよかったと思っている。本当に少しずつ読んでいるのでまだ「丸の内線」でとまっているところだ。それにしてもすぐれた作家だ、とつくづく思う。

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涼しい日々が続いている。湿度は高いものの、大雨が降るわけでもなく、こんなに快適に過ごせていいのだろうかと思うくらいだ。いつの間にか7月が半分終わっている。あと2ヶ月もすればもう秋が来ているのだ。

Saturday, 13 August 2022

サマセット・モームの"the Pool"を読んだ

 ここにきて1週間。ようやく読書らしい読書をした。サマセット・モームの"the Pool"を読んだ。短編といっても結構長い。しかし後半ぐいぐい引き込まれてあっという間に読んでしまった。おもしろかった。英語はそれほど難解ではない。舞台はサモアで、以前読んだ、同じくモームの"Rain"を思い出した。1921年に出た作品らしい。Rainもそうだったけど、今読むと驚くほど差別的な箇所がいくつもある。しかしそうだったのだ、その時代は。英国が世界を支配していた当時。そしてサモアと英国の気候の差は印象的。

それにしても英国というのはおもしろい。こういうの読んでるとそう思わずにはいられない。あんなに小さくて、気候もまったく素敵ではない。しかしこの国の人たちが、政治、文化、科学その他の場面において世界にもたらす影響力の大きさたるや。うーん。気候の最悪さは確実に影響していると思う。天気が良くないからこそ外に出たんだろうなあと。

さて今日は何を読もうかなあ。

8連勤とアルファルファ

もういい加減にこの暑さに疲れてきたなあ。雨が降る前よりだいぶマシになったと思うけど、それでもこの季節はもっとこう、スーッと風が吹いてほしい。もう体力がもたない。今週は土日勤務で、9月第1週は長い。8連勤。毎年のことだ。きょうは7日目。 なるべく元気に過ごしたいけどまだ身体は夏休み...