Sunday, 23 November 2025

学祭と、自由と

 母校の学園祭へ。行くつもりは特になかったが、恩師がいて会えると聞き、行くことを決めた。子を連れて、2人で出かけた。とにかく天気が良い。電車に乗る時間より歩く時間が長いかもしれない。それでも街路樹の紅葉がきれいで、人も少ないし、いい運動になった。

着くと、大学は広々と開放的で、紅葉に反射するかのような明るい光に満ち溢れていた。懐かしかった。自分がいた時と比べると、それは確かにいろんなことが変わっているけど、そこにある空気と光は同じだった。11月の、キリッとした、澄んだ空気。

ふと、当時の自分達が目の前を通り過ぎるような、そんな感じがした。鍋を抱えて、またはビールを持って、安っぽい、変な格好をした19歳。当時は考え事も不安もあったのに、いま振り返ると「あの頃は怖いもの知らずだった」なんてことが簡単に言えてしまう。あふれる自由と若さ。

一瞬だけ、「大学に戻りたいな」と思う。しかしそれは、自由と若さに魅力を感じているだけなのかもしれない。論文を書きたいわけでも、学祭に参加したいわけでもない。大学の雰囲気が好きだったのと、やっぱり自由だったから。しがらみもなく、好きなことをして、いろんな人に出会えた。

大学を経て、今があり、仕事について世の中に還元をしている(つもり)。自分のいた時代はすでに過ぎている。もう決して戻らないし、自分がもし大学に戻ったところで再現できるわけではない。あの時間は、あのときだけのもの。今は、今。

たぶん同じように感じる人たちがよのなかにはたくさんいる。学校という「枠」があって、そこを通り過ぎていったたくさんの人たち。

いい思い出があるおかげで、その後の人生はあったかいものになる。思い出にすがるのではなく、胸に抱いて先に進むべし。糧として。材料として。

滞在時間はそれほど長くなかったけど、食べたいものを食べて楽しんだ。学生時代はこうはいかなかった。おいしそうだなと思っても買えなかった。なにせ、1ヶ月の食費を1万円で抑えるのに必死だったのだ。お金があっての学祭はいいなあ。大人になって別の自由を手に入れた自分。

学祭と、自由と

 母校の学園祭へ。行くつもりは特になかったが、恩師がいて会えると聞き、行くことを決めた。子を連れて、2人で出かけた。とにかく天気が良い。電車に乗る時間より歩く時間が長いかもしれない。それでも街路樹の紅葉がきれいで、人も少ないし、いい運動になった。 着くと、大学は広々と開放的で、紅...