Saturday, 30 May 2020

3歳9ヶ月のバイリンガル日記

私の仕事が再開するのもあり、練習みたいな感じで今週は水曜と金曜、こどもを保育園に預けた。ただし午前中だけ。9時から12時までなのであっという間にすぎる。いつもと違うのは、お弁当を持っていく必要があるということ。あくまでも今週は「応急保育」という扱いになっている。医療従事者やライフラインに関わる職業の人のみが預けられる、というのが先週までだったが、今週は「在宅ではあるが保育困難な人」というのが加わった。ということで、仕事に行く日に合わせて、預けることにした。

ところがこれが一筋縄ではいかない。二ヶ月間、毎日両親とべったりだった3歳児がそんな簡単に保育園モードに切り替えられるわけがない。「呼び」となるのはお弁当だけである。ぶどうとかさくらんぼとか美味しいものを入れたお弁当を用意して「行ったら食べられるよ」と言うしかない。それでも「おうちでごろごろyoutube見る」には到底かなわない。朝から泣き叫ぶ子ども。「いやだよう、行きたくないよう」とイタリア語で叫ぶ。



この二ヶ月の間、ちょうど5月の中旬ごろから我が子は「日本語<イタリア語」になった。たとえば日本語でしゃべっている途中にこういうやりとりがよくある:

子「cocomeloって日本語でなんていうの?」私「すいか」

子「lontanoって日本語でなんていうの?」私「遠い」

という、今までだったら逆(つまり「イタリア語でなんていうの」)だったはずの質問が出てくる。「ついに逆転したかー、と興味深くみていた。それはそうだろう、親といる時間がこれだけ長いのだから。保育園に毎日通っていたときは、「パパ、日本語しゃべって」と言っていたのに、ついに最近は「マンマ、イタリア語しゃべって」になってしまった。親がそれぞれ違う言語をしゃべるわけだから、子はいちいち切り替えなければいけない。だけど、できることなら周りを自分のモード、つまり自分が困難なく表現できる言語に合わせたいわけだ。バイリンガルならではの悩みと苦しみがあるんだろうなと思ってみている。「二つ話せるっていうのはとてもいいことなんだよ」「とても特別なんだよ」と話をした。

私はイタリア語母語話者ではないので普段日本語で会話している。イタリア語で話しかけられても日本語で答える…はずだったが、どうしたことか最近はイタリア語に押されることが多くなってきた。さほど不自由はないものの、気づいたら「そっちモード」に取り込まれる。

話は戻って、そんなこんなで約二ヶ月ぶりの保育園に二回通った。来週からも自粛期間ではあるものの少しずつ友達は戻って来るはずだ。そうするとあっという間に日本語優勢になってくるのだろう。

この日伊間の迷いと戸惑いに直面する我が子をみて、私はとくに哀れがったり、焦ったりすることはない。自分は経験したことがないけど、たぶんそういうものだと思う。ただ、心がけていることもある。言葉が出てこなくてつっかえたり同じことばを何度も繰り返したりするときに、急かしたり問い詰めたりしない、ということだ。あまり訂正らしき訂正もしない。いずれ分かるから。



ここ半年くらいで我が子について気づいたことの一つとして、結構慎重派なのかも、というのがある。判断してから動くタイプかもしれない。それがいいとか悪いとかいうわけではない。ほかにも気づいたことはたくさんある。お絵かきとか、工作とか、パズルとか、机でやる類の遊びにはあまり興味を示さない。文字数字もいまのところあまり反応がない。すべての車に興味を示した2歳のころは車体に書いてある文字がすべて読めたのに今は「わからない」と言う。不思議なものだ。

その代わり驚異的なほど興味を示すのが消防関連である。そして、それにまつわるいくつかの外国語。youtubeで消防士をみながらいろいろな言語をリピートする姿をみて消防と外国語の組み合わせはこの人にとって最強なのだなとつくづく思う。

お父さんの回復、12月の疲れ

父が入院している。経過は良いようで、退院が見えてきたらしい。よかった。毎日のようにテレビ電話で様子をきいているが、話す様子が1日、1日と元気になっていくのがわかる。人間の身体はすごいなあ。 話を聞くたびに、普段の姿勢とか、動き方とか、注意しなければと思う。身体に負担をかける動きを...