毎週末、こどもと一緒に図書館に行って本を借りていた。しかし、毎晩読むとなると私もさすがに新しいのが読みたいなと思うようになる。いくら面白くても毎日同じものを読むのは飽きる。家にもたくさん本はあるが一度読んだことあるので「どういう話だろう」という楽しみもない。そんなわけで仕事の行き帰りに図書館で2,3冊借りて帰ることが多くなった。なにせ図書館は近所なのだ。
子はすべてが気に入るわけではない。これは好きだろうなと思って借りた本でも「これもういや」と言うときもある。理由は不明。その反対に、毎日読みたがるような本もある。借りた本のなかでどれがヒットするかわからない。「ポテトむらのコロッケまつり」というのは最近のヒットだった。延長してまで借りた。
もうひとつ、これは意外なヒットだったのだが、「おいしいものつくろう」という本。あらいぐま一家と、うさぎ一家が、朝ごはん、昼ごはん、夕ご飯をつくる。「ぱっくりドッグ」とか「オムレツ・フラメンコ」とか料理名もかわいい。作り方が載っているのだがそれは詳しいレシピではない。
そのなかで「かじゅえんゼリー」というのがあって、これをつくりたいと以前から言っていた。金曜の夜に読んだときにまた言っていたので、よし、明日はゼラチン買いにいくか、ということになった。牛乳とゼラチンと砂糖とフルーツ。
さて、土曜。ふたりでスーパーへ。「ゼラチンはどこかなー」とか「桃がいいよ」とか言いながら材料を買った。「ぜんぶある?」と材料がそろっているかを訪ねるこども。かわいい。「大丈夫だと思う」と答えた。
いくつかのウェブサイトに載っているレシピを比較しつつ作ってみた。練乳を買ってくりゃよかった、と思ったが砂糖にした。
メモがわりに以下にレシピ:
・ゼラチン5gを水大さじでふやかす。
・牛乳250ccと砂糖大さじ3 ⇨ 火にかける。沸騰させない。
・ゼラチンを入れて溶かす。
・みかんの缶詰1/2といっしょに容器に入れ、あら熱が取れたら冷蔵庫へ。
所要時間はたぶん10分くらい。まあこんなもんかなー、ゼラチンなんて久しぶりに使ったなー、と思いながらほぼ半信半疑でやってみた。
夕飯後、デザートにと冷蔵庫から出したらこれが美味しい。プリンみたいだった。こんなに簡単なのか。これだったら、出来上がったものを買うより断然おいしい。最初は牛乳なんて入れなくていいんではないかと思っていたのだが、このコクがなんとも言えない。これはリピートして作ろうと思った。子は無言で食べていた。
コロナがはじまってこの1年間、「だったら自分で作れば良い」と、手作りに時間をかけることが多くなった。パンがその代表である。慣れてしまえばなんてことはない。単純に、やったことがなかったため大変だと思っていたというだけである。家庭料理だって、レトルトを使ったほうが楽だと考えていたし外食が美味しいと思っていたのだが、ここ数ヶ月で土井善晴さんの本を読んでガラリと考えが変わり、急に手作りが苦ではなくなった。こどもに何が食べたいかときくと「おにぎりとみそしる」と答えるようになった。結果、レトルトは買っても減らない。これはやはりこどもがいるおかげというのもある。
よく「丁寧な暮らし」と言うが、実はそれが当たり前だったはずなのだ、ずっと昔は。ゴマは摺るものであり、最初からすったゴマが売ってあることはなかった。忙しい忙しいと雑多なことがらに追われて、「食べる」という、生きるための基本的な行為をほぼないがしろにしている現代人。コロナ禍でパンを焼くようになった人たちは多いと聞くが、やはり自分の生活を見直すという点においてはコロナがもたらした恩恵はかなり大きいのではないか。