ダン・ブラウンの『天使と悪魔』が話題ですね。今ごろ。
私はこれを、3年くらい前に、すでに読んでた!だから、今ごろ騒いでいるのを見ると、なんというか、悔しいというかもどかしいというか、ヘンな気分になる。私は知ってたもんねー!と、言いたくなるわけ。
読んだときの感動は、それはそれは凄まじかった。あんな本は読んだことなかった。ダヴィンチ・コード以上だった。
深いわけですよ。
科学と宗教の対立が大きなテーマであるわけだが、本気でそれについて考えさせられた。今現在、私(たち?)は科学サイドに立って生きているわけだが、この本を読んだら、「いや、そうとも言い切れないのかもしれない」とか、考えちゃうし、なんというか人類の起源とか、真理の追究とか、22歳の小さなあたまは、宇宙規模に膨張して爆発しそうなくらいに拡がったわけであります。
だって、好きな場所が舞台になっているし、好きな美術史も絡んでいるし、夜も眠れないくらいに興奮したのを覚えている。
読み終えたあと、ローマに行く機会が4回くらいあった。結構な回数ですよね。でも、"ゆかりの地を訪問ツアー"みたいなことはしなかった。「ああそういえばあの教会は」と思いだして、去年の夏は聖女テレザの法悦を見に行ってみた。別に人でごったがえしているわけでもなくて、誰もそこにはいなかった。
知り合ったローマ出身の人に「天使と悪魔は読んだか、どう思ったか」と聞いたけど「ダン・ブラウンはあまり好きじゃない」という一言で片付けられた。まあ、カトリック信者にとって、まともに受け入れられる作品ではないだろうとは、思う。
ローマという街について。
初めて行ったときは全然好きになれなかった。今の時点で、何回行ったのか、もう数えてないけど、好きになるまでに3回は必要だった。2回目に行ったときに、まんざらでもないかもしれない、と思った。そのあと行ったらもっと好きになった。昨年の夏には2週間過ごした。この前も行った。最初に行ったときに、こんなところではとても住めないなと思ったのだけど、今は、以前ほどの問題を感じない。
いや、実際のところ、ローマはここ4,5年で変わったと思う。なんとなくそんな気がする。電車が綺麗になったのは、明らかな変化である。目に見える変化。
でも、もう一つ思うのは、人々が変わったのではないか、ということ。
例えば、1人じゃ地下鉄には絶対乗れないと思うくらいに、周りの人たちの視線が怖かった。日本人2人でいても、すぐに、ぎょろぎょろした目のイタリア人たちに取り囲まれた。エスカレーターを上っていても、みんなじろじろ見る。そして「Cinese!(中国人)」と怒鳴る。
これは差別だ、と思ったのを覚えている。
アジア人を見慣れていない。自分たちとかたちの違う東洋人を見るとすぐにバカにする。そして一括して中国人とみる。イタリア最大の都市とはいえ、この排他的、差別的な感じは、どうしても受け入れられなかった。なんだこの都市は、と思った。
たしか2005年の4月のことである。ローマ法王が逝去したちょうどそのときに、私はローマにいた。
小さなリュックサックに石けんと下着とパスポートだけつめて、イタリア中を巡った。
だいぶファンキーな旅をした。
まさかその後、これだけイタリア語をしゃべることになるとは知る由もなかったし、その後5回も6回もこの街を訪ねることになろうとは知る由もなかった。
思えば、あの2005年の4月を境に、いろいろなことが動き始めたのだ。
普通、イギリスに発った2004年9月を境と見るべきだろうが、本当の境は、イタリアに初めて行ったときだ。そう言ったほうが正しい気がする。
21年間の人生で初めて、自分が受け入れられた感じがした。自分を肯定的にとらえられるようになった。認めてくれる場所があるんだ、ということを知ったし、自分の価値を知った。大げさな言い方に聞こえるだろうけど、本当にそう思った。息がしやすい、と思った。
2回目に滞在したのは、3ヶ月後の7月だった。4月の時点でほとんどしゃべれなかったイタリア語が、夏になったら、すらすら出てくるようになった。意思疎通に困らなくなった。
人生ってどこでどうなるか分かりませんよね。うーむ、面白いわー…と、今、ここ数年を振り返りつつ、深くそう感じるのであります。fact is stranger than fiction.
Saturday, 9 May 2009
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