Monday 6 February 2012

"マンマ"の勘

最近忙しい。

まず仕事。特に先週は、かなり疲労のたまる一週間だった。昨日なんかは、日曜だったけど、通常より早い時間から勤務だった。

しかしこのあと通常業務に戻るので、仕事はまあいい。

問題はうちに帰ってから、である。
パソコンに向かってやらねばならないことがあるが、そのためには時間が到底足りない。うちに戻ってくるのが6時ごろで、寝るのが10時ごろだとすると、家にいるときに自由のきく時間はたったの4時間だ。

その4時間から、お風呂や食事、片付けの時間を引くと、残されるのは1,2時間になる。まさに時間を「捻出」である。

時間を「捻って出す」くらいだから、自由に使える時間はほとんどない。
だから最近あまりお菓子を焼いていない。(最後にマフィンを焼いたのは1ヶ月近く前かもしれない。)

久しぶりに作る時間が欲しいと思っていたところ、ココナッツを使ったケーキのレシピが目に入った。「ココナッツの粉120g」と書いてあるが、そんなに簡単に手に入るのだろうか。


ところで、日本に暮らし、日本の文化に慣れた私のような人間にとっては、欧米のお菓子レシピはあまり参考にならないことが多い。

たとえばイタリアのレシピについて見てみよう。

①量が多い。

卵5個とか、小麦粉500gとか平気で書いてある。そんな量が型に入りきるのか。
上のレシピはまだマシなほうである。
ただし「バター250g」は多すぎる。
想像してみてください、箱で売ってるバターがたいてい200gだから、それ以上です。
ちなみにクッキーだと100g、マフィンだと60~70g使う。
特にお菓子を作ったことのある人なら、250という数字の重さがわかると思う。

もしあなたが「マンマ」ならこのレシピは有効に働くだろう。そして子供が5人以上いればさらにその有効性は増すだろう。
ナポリの下町でたくさんの子供を抱えて暮らす「昨日・今日・明日」のソフィア・ローレンのように。「ほらあんたたち、ごはんだよ」が繰り返されるその生活をイメージしてほしい。
そこで出されるケーキは、とにかく大きくて、素朴で、甘い。「品」などあってはならないのだ。

たぶんマンマはきっちり計量しない。そして焼く時間も、温度も、きっと「だいたい」のはずだ。感覚で決めて、バーン!あるいはドーン!と作るのだ。小麦粉500、ドーン!と。もってけドロボー!と。食うなら食えー!と。

そうやって「その家庭の味」ができていくのだろう。
だから「ケーキはこうなければならない」ということは、きっと無い。

日本でも家庭によって煮物や肉じゃがの作り方や味が異なるのと同じだ。
すべてはお母さんの勘によるから。

②材料が手に入らない。

いや、手に入るものもある。ただし、これもまたイタリアの例だが、たとえば「マスカルポーネ・チーズ200g」なんて簡単に書かれても、日本のスーパーで簡単に手に入るとは限らない。見つかったとしてもたいていイタリアで買う場合の2~3倍の値段はする。

まあこれはお菓子に限った話ではない。モッツァレッラひとつとっても、3倍以上の値段はする。

それに、小麦粉。
日本では「薄力粉、中力粉、強力粉」の3種で分類されているが、イタリアはこの3つではない。いつも"farina(=小麦粉)"とだけ書かれてある。

お菓子づくりで使うのはたいてい薄力粉だから薄力粉を使えばよいのかと思えば、「いや、そうじゃなくて、もっとふくらむタイプのやつ」とか言われたことがあって、困った。そんな分類は知らない。


なにはともあれ、本場に習って繊細にお菓子を作る日本人の職人さんには感心します。
真似したもののほうが、本場以上によくできていたなんて話はよく聞くけど、やっぱり日本人の器用さは世界トップクラスなのだろう。

それにしても、写真のケーキ、食べてみたいなあ。バター250gでもいいから。

ありがとうとカルボナーラ

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