Friday 27 December 2013

年内最後の国立科学博物館

朝からあまり天気が良くないようだったが、やるべきことをやることにした。
というのも、年内で“まともな”1週間は今日で終わりである。
明日から週末で、週末があければ「年末」になり、病院も銀行も美術館も博物館も、普段行かなきゃいけないのに行けない場所が閉まる。
いや、美術館なんてもう閉まっているところがたくさんある。

ということで今朝は、がん検診のクーポンを使いに行った。期限が今年中で切れるのである。いつか行けると思っていたらもうこんな時期になってしまった。
予約ができない病院なので、ひたすら待った。
受付に行ったのが10時ごろだったが、病院を出たのは12時過ぎた。それでも今日は特にこのあと予定が待っているわけではなかったので、気持ちに余裕があり、ゆっくりと雑誌をめくって待った。

家に帰ってお昼を食べる。

自由に使える時間がこれだけたくさんあると、一日中じっとしておくのはもったいないような気がしてくる。たとえ雨が降ろうが、貴重な、平日の休みなのだ。

国立科学博物館が年内最後の開館日だということで、午後からいそいそと1人で出かけてきた。
なんとなく1週間くらい前から行くつもりでいた。
この、27日に空いている博物館/美術館はここだけだ、と思っていたんだと思う、確か。

そして、日常でこれだけ科学を語る人に囲まれていると、だんだんと影響されてくるのだ。

私ぐらいの年齢で、1人でこんなところに来ている人は決して多くなかった。ほとんどが親子で、しかも子供が小学生以下の幼さ。
そういう人たちに混じって、きょうはボランティアガイドのツアーに参加することができた。
ここに来るのは3回目か4回目だが、ツアー参加は初めてである。

とても価値のある一時間を過ごした。
担当された方は関さんという女性のボランティアさんだった。
親切で、はきはきとして、説明が分かりやすい。
博物館のボランティアというものは、まあとにかく知的で、品があり、憧れずにはいられない。こういうふうに自分の得意分野を子供たちに語るという日々はどんな感じだろうか。

「人から学んだことは人に還元をするんですよ」というのは内田樹があちこちで書いていたことだが、まさにボランティアさんたちのやっていることはそういうことだろう。
見返りを求めず、これまでの人生で得たことを、市民に還元し、シェアしてくれているのだ。
素晴らしいことだと思う。
日本館の階段に埋まったアンモナイトを指す関さんを見て、こういう大人になりたいと思った。

科学というのは自分にはほど遠いと思っていた。
学校の成績は、全然だめだったし、物理は泣くほど嫌いだったし、化学式と聞いただけで震え上がるほどだった。

それが今こうやって興味が出ているのはいったいどういうことだろうか。

今の職場に身を置いて2年目。
ここで出会う人々は、科学に携わる人々が多い。
いや、別に多くないのかもしれないが、今までの私の人生では無かった経験である。

少年のような目で、恐竜の骨について語る同僚を見ていたら、知らず知らずのうちに自分も興味が出てきたのだ。
物理も、天体も、心から面白いと思っている人から「面白いでしょう?」と言われると、本当に面白いような気がしてくる…!

この、私が、元素周期表の前で「この物質は何でできているかな」のボタンを押しながら楽しんでいるなんて。
十数年前の私が見たら何て言うだろうか。

だからと言ってすべてを覚えたり真剣に勉強したりしようとしているわけではないが、十数年前に比べるとこれは何百歩もの進歩だと思う。
気持ちが、そっちを向いたのだから。
逆に言うと、「食わず嫌い」を直すのに十数年もかかるのだ。

教育(というかすべて)のカギはこういうところにあるのだ、とあらためて思った。
どれだけ「やれ」とか「〜しなさい、さもなくば」という文脈で命令しても、本人の心が開かない限り、学習は始まらない。

逆に、心を開いた瞬間に、どんなものからでも学習ができる。その心を開くきっかけは何か。

ひとつには、「めっちゃ面白いんだよこれ!!」と夢中で語っている人がいると、「なになに、何がそんなに面白いの?」と気になってくるものだ。
私の場合、そういうことがきっかけになることが多い気がする。

繰り返すが「〜しなさい、さもなくば…」の文脈で出たやる気はたいてい長続きしない。

ところで今回新たに、マクロキスティスを知った。
30mの昆布。日本には無いらしい。

あと、恐竜っていうのは陸にいた爬虫類のみを指すということも今まで知らなかった。
ガイドツアーに参加していた5歳ぐらいの子供が、フタバスズキリュウを指差して「きょうりゅう」「ピーすけ」と言っていたのを聞いて驚いた。
彼はきっとドラえもんの映画を見たのだろう。
『ドラえもん のび太の恐竜』。
私も20年以上前に見た。この子でも知っているということは、やはりあの映画は名作だったのだ。



フタバスズキリュウは恐竜ではない、残念ながら。

またいつものように、全部見尽すことはできなかった。
地球館の3階までたどりつけなかった。これだけ大きいのだから、当然といえば当然である。

また絶対来ようと思った。

暗くなってから外に出ると、ライトアップされたシロナガスクジラが…!
昼間より見応えがある。

いやー、ほんとに来てよかった、と思った。濃い午後を過ごせた。

アメ横うろうろしようかしらと最初は思っていたのだが、疲れてそれどころではなかった。まっすぐ家に帰った。

ありがとうとカルボナーラ

 新学期スタート。 子が帰ってくる時間に家に人がいる、というこの幸せ。保育園は4時とか5時まで預けていたのでこんなことはなかったけど小学校は本当に「帰ってくる」ので誰かいないといけない。自分が仕事していてその時間に家でFが子を迎えてくれているというこの安心感は、あらためて、ほかの...