Monday 13 April 2020

「話せてよかったです」

とにかく毎日職場に行って、やることきめてリズムを作るぞ!と意気込んだ翌日、在宅勤務の指示が出た。そうか、そりゃそうだよな。職場に来る必要なんかないわけだから。職場に来るなとは言われていないがやはり「原則在宅」である。当たり前だ。それと同時に保育園も「家に親がいられる場合は家で保育を」という指示がきた。これが10日金曜日。いや、実質その前からそんな感じだ。言われていることは特に変わったわけではない。というのも緊急事態宣言が出て1日目、水曜に保育園に連れて行ったときは結構普通に子供達がいて「あ、よかった」と安心した。ところがその翌日、木曜に行ったら様子が様変わりしていて、子供達の声がしない。土曜保育か?というくらいに少なかった。「こ、これは…」と思った。預けてはいけないのだ、と感じた。それでもその日は出勤したのだが、翌日から在宅になったので金曜はさすがに自粛した。

そして土曜の朝。公園に連れて行くとAちゃん家族がいた。Aちゃんは保育園の友達。親同士、「保育園どうしてらっしゃいますか」という話になる。当然。「親が家にいられる時は、って書いてあったけど子供がいて家で仕事なんてできませんよね」「自粛って言っても一体どの程度自粛なんでしょうかね」と言われて「そうだよな」と思った。自粛というのは控えるということなのでどの程度なのかは本人の解釈に任されているところがある。登園禁止とか休園という処置ではないのだ。たぶん区としては「禁止とまでは言わないけど、どうか察してくれ、保育士だって大変なんだし、なるべく来ないでくれ、もしお互いにうつったらそれこそ大変ですよ」というのが本当のところなのだろう。やわらかい、やさしい書き方で、本音を察してくれることを期待している。そして実際、察して登園しないあたり、おお、日本人だよなと思う。「登園禁止!」って言われてないのに。これが非常事態宣言1日目と2日目の差。「給食は食べさせたいですよね」とか「これが1ヶ月以上続くのはしんどいですね」とかしばらく話した後、Aちゃんは帰ることに。Aちゃんの親が「ああ、でも、話せてよかったです」と言った。「私もです」と言った。

翌日、日曜の朝。買うものもなかったけどとりあえず入って結局出た店の前にBちゃんの親がいた。Bちゃんも保育園の友達。「ああ!」「お元気ですか」「どうしてるんですか最近」とお互いに言い合ってちょっと話した。Bちゃんは3人きょうだい。6歳、3歳、1歳。旦那はテレワークだそうで、家のなかのカオスっぷりは説明されなくても想像ができた。「一週間いるんです、家に。3人とも。3食つくってます」と言う。親も入れると5人だろう。自転車のカゴには前後とも食料品がいっぱい入っている。あふれそうだ。これは冗談じゃない大変さだ、と思った。旦那が家で働くということはその部屋に3人は近づけられないわけだから、これまた難しい。そして公園に行くことも控えているそうで、家の前で遊んでいると、そこに子供たちが寄って来るそうだ。そして、みんなで遊んでくれるのでそれに助かっている、と。「うちなんて一人でもこんなに大変なのに」と私が言うと「逆に3人のほうが遊び相手になってくれるからいいかもしれません」と言う。なるほどそうかもしれない。一人っ子だと親が遊び相手になってあげるしかない。現状、そうである。Bちゃんの親は、自分が家にいられるので「当然、保育園に行かせられる条件がない」と言っていた。行かせようかなどうしようかな、ではなくて、こういうお知らせが出ているんだから行かせられるわけがない、という感じ。しばらく話して、「ではお元気で」と別れようとしたとき、Bちゃんの親が「なんか、話せてよかったです」と言った。「私もです」と言った。

てくてく歩きながら「あれ、このセリフどっかで聞いたな」と思った。そうだ、昨日Aちゃん親が言ってた。みんな同じなんだ。慣れない状況に戸惑っている。これ一体いつまで続くのか、と思いながらとりあえずご飯作り続けているし、こどもは保育園の友達に飢えている。普通の日々がいつ再開できるのか、誰も知らない。そんなときに同じような境遇の人に会うとホッとするわけだ。

それにしても、その辺を歩いているだけで、日々の不安な気持ちをシェアできるような相手に会えるんだな私は。これは子供がいるからなのだ。大人だけで暮らしていると、こういう出会いはないだろう。おかげさまでだいぶコミュニティというか知り合いが増えたものだ、と思った。

さてきょうは雨。どうやって1日を乗り切ろうかとすでに気持ちがめげそうになっている。

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