Monday 3 January 2011

franponais- ことばへのリスペクト

フランス人学生が書いたブログを読みながら少し怒りのようなものがこみあげる。
といっても、怒りの対象は書いた学生ではない。



ブログの内容は、日本にあふれる意味不明なフランス語について。

日本では、英語の場合と同じように、フランス語を使えばカッコいいと思われる場合が多くある。
けれどフランスの文化や言語に疎い人たちがほとんどなので、意味不明なフランス語(=franponais)ができあがってしまう。

「皮膚の博物館」という名の化粧品屋や、下の写真のようなメニューなど。
フランス語に限ったことではない。
イタリア語、ドイツ語、スペイン語…
英語だともはや慣れて(親しんで)いて、響きはカッコ良いんだけど意味が分かっちゃう。
だから代わりに、多くの人が知らないであろう、日本語でも英語でもない(ヨーロッパの)言語を使う。

ポイントは、多くの人が知らないということ。
その結果生み出される効果が

「何となくカッコいい」である。
「意味は分からないけどなんとなく」だ。

アジア系の言語はあまり見ない。アフリカ、インド、アラブあたりも、あまり見ない。
いや、あるのかもしれない。自分が詳しくないので気付いていないだけかもしれない。
私にとって目に付く(そして気になる)のは圧倒的にドイツ語、イタリア語、フランス語だと思う。

家の名前が良い例だ。

「ドルミール中野」とか
「ハイム武蔵」とか
「カーサ青葉台」とか
「クレール光が丘」とか。
「メゾン富丘町」とか。

ぜんぶ「ああ、あるある」と思う日本人がほとんどだろう。
そして意味は知らないという日本人がほとんどだろう。



上の写真にあるメニューを書いた人(とそのレストランのオーナー)に聞きたいのは、辞書を引いたのかどうか、ということだ。
本気で興味がある。
相手を目の前にして「辞書引きましたか」と聞いてみたい。

ひいたという人がいたら
「英語の辞書には載ってなかった」って答えるのかなあ。または
「なに語か分からない」って答えるのかなあ。

まあ、家の名前については「誤用」にはあたらないかもしれない。
とりあえず、ハイムもカーサもメゾンも、全部「家」という意味である。
意味を考えると変だと思いませんか、と、命名した(であろう)建物の所有者に言いたい。


言葉に対して極端に敏感になる必要は無い。
けれど、その言語に対して少しなりともrespectをすべきではなかろうか。
言語をリスペクトするということはその文化と歴史と人々をリスペクトするということだから。

単に「だって、なんとなくカッコいいじゃん」という理由で意味もよく分かっていない外国語を乱用するのは、「微笑ましい」を通り越して、「恥ずかしい」。

ただし、海外で「おっ」と思わせるような日本語の使われ方に遭遇したこともある。
ロンドンにある有名な日本料理店は「wagamama」である。
ありえんやろー、と言う人もいるが、私は、これはこれで受け入れられる。
なかなかおもしろいと思うし、キャッチーだ。

そこで食事をしている人には店名である「わがまま」が日本語で何を意味するかは知って帰って欲しいと思うのだが。日本語母語話者としては。

でも、まあ、そういう言語が時としてまるごとその国の言葉として取り入れられちゃったりすることもある。
しかも、意味がねじれた状態で、その土地に浸透し、人々に使われちゃったりもする。
そして使用人口が多いと、もはや、もともとどこの言語だったかも分からなくなってしまう。

だからやっぱり言語は面白いと思います。
言語コンシャスな人がもっと増えると良いなあ。
そしたら世界はもうちょっと平和で幸せになると思うよ。

自分と異なる者、もの、ことを理解することは簡単じゃないけど面白い。
私は、その、少しなりとも理解しようと努める姿勢を崩さずにいたいと思うのであーる。


さて、おなかすいたし何か作ろう。
明日も晴れますように~。

万年筆、外出

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