家族のいる故郷に戻ってきた。
日曜日までここで過ごす。
この家を出てかれこれ9年になる。
上京したばかりのころ、横浜に住むおじが「故郷にもどろうかと思っているんだよ」と言っているのを聞いて「そうなんですか」とは返事をするものの実感としてそれがどういうものかはわからなかった。
それがどうしたことかここ数年、ことあるごとに実家に帰りたくなるのだ。
恋しいのは家族というよりむしろ生まれ育った環境。
景色や、空気や、音がどうしても懐かしくなる。
たとえば「この秋のあの空気を、今味わっておかないと次の機会があるとしたらあと1年後になる」と思う。
そうやって、なかば焦ったようにして飛行機の席を予約するのである。
今回は故郷の「秋」を逃してはならぬ、と思ったわけだが、実際のところ、どの季節もそう思うのである。
帰ったからといって何か特別なことがあるわけでもない。
いつもどおりの静けさが待っている、ただそれだけだ。
それはなにものにも替えがたくて、なによりもあったかい。
ときどき抗いがたいほどに帰りたくなるとき、ほとんど、あきれてしまう。
1歳から18歳までをすごした場所というのは、こうまでも自分に「しみ込んで」いるのかと。
ふるさとの持つ力と、自分との結びつきに、参ってしまう。
幼少期に過ごした環境が人に与える影響は大きい。
この家に帰ると、自分がどれだけ恵まれていたか、幸せに生まれ育ったか、改めて思い知るのである。
人には自然が必要だ。
野山を駆け回り、自分の脚で歩き、自分の手で自然に触れた。
そうやって過ごした日々のおかげで、今の私がある。
Friday, 28 October 2011
お父さんの回復、12月の疲れ
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