Monday 13 October 2014

フランス映画を見て思った

映画の感想を一つ。
『美しいひと』 (La Belle Personne)


DVDのジャケットがこんな感じなものだから、ホラーかサスペンスかエロか、と思っていてなかなか手が出なかった。
どこかでみた「おすすめ映画」の中にあったので、あ、別に普通の映画なのかなと思って手に取った。

しかも、昔のやつかと思ったらそうでもない。2008年だって。

で、感想は、というと。
いやはや。久しぶりに「フランス映画らしいフランス映画」を見た。
満足。

フランス映画というのは好き嫌いが分かれる。
「アメリ」は好かれる方。
一方、「嫌い」を生み出してしまうタイプの映画というのが、私は好きだ。

その特徴として;

・坦々と話が進む
・(爆発とか地球滅亡とか)大きな出来事が起こらない
・CG等は無く、いかにも製作費低そう
・主人公が悶々と(特に恋に)悩む
・街に霧か靄みたいなのがかかっている
・全体的に暗い感じ
・全体的に静か
・カフェで哲学的な会話
・つまり、ハリウッドの対極

例えば、アルノー・デプレシャンの「そして僕は恋をする」とか。

この「美しいひと」は、話は単純で、転校生の女の子にみんなが夢中になるが、先生まで好きになってしまう、という話。
この、先生のオーラがすごい。
タイトルの「美しいひと」というのは一体どっちのことをさすのか、とさえ思ってしまった。
元のタイトル確認したら、女性名詞だったので、これは女の子のほうをさすのだと分かったけど。
どこかで見た俳優だと思ったら、モニカ・ベルッチと共演していたことがあるルイ・ガレルだった。
もはや、「カッコいい」とか「イケメン」とかいう形容の仕方では追いつかないのだ。

話は変わるが、この人ほんとに髪の毛ぐしゃぐしゃなのだが、それがまたいい。
見ている間に、天然パーマに戻そうという決意を新たにした。
あと1年以上はかかるけど。

普通の、パリにある高校の様子を描いてあるのだが、まあ日本の高校からは想像すらできないほど生徒たちが大人びている。
よくドラマなどで見るアメリカのハイスクールとも違う。
飾り気が無く簡素な感じ。

それぞれにきちんと恋愛していて、干渉し合わない。
先生もきちんと恋愛している、というのがいいなと思った。
まあ、普通なんだろうけど、これ日本ではありえないんだよなあ。

(「フランスでは」という文脈で語るのは良くないかもしれないけど、)例えば先生やクラスメートに恋人がいてもそれはそれとして、生徒は個人のこととして認めている。
むしろ素敵な大人として尊敬に値する。
個人には個人の生活があり、ドラマがある。

日本では「○○と△△が付き合ってるんだって。ヒューヒュー♪」という流れが定番だが、これは高校生に限ったことではない。
大人になってもずっとそうだ。
芸能人が「お泊り」しただけでニュースになる。
(いつだったか丸刈りして謝罪したアイドルもいた。)

そういうのを見るたびに日本人の精神年齢の低さというか幼稚さを感じずにはいられない。
他人のことがどうしてそんなに気になるのか。

まあフランス映画見ていると、日本人のそういった様子を同じレベルで語ることさえ憚られる。
次元が違うのだ。
そもそも「視線で会話し合う」感じが、ここではまず無いし、感覚としてだいぶ理解されにくい。

カップルで手をつないで歩くことさえ憚られるこの国で、やっぱりこういう映画は生まれないし、たぶん理解されない。


また別の美しさを出していくしかないのだろう。


んー、日本のいいところをもう少し探そうとは思っているのだが、ついこういうことを書いてしまう。
やっぱり私自身、馴染んでいないとどこかで感じているからなのだろうけど。

ありがとうとカルボナーラ

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