Monday, 2 June 2025

89歳Yさんのことば

6月になった。涼しい。寒いときもある。こんな6月はあまりない気がする。しかしこのくらいでちょうどいい。汗もかかず、夜もよく眠れる。 

オーブンもフル稼働でよく色々なものを焼いている。最近はこのバナナブレッドをよく焼く。若山曜子さんのレシピで、本当は長方形の型で焼くはずだが、マフィン型で焼いている。このほうが食べやすくて美味しい。

とにかく簡単なのでしょっちゅう焼く。ただ混ぜれば良い。コツも道具もほとんどいらない。スプーンでできる。

先日、合気道でいっしょのYさんが89歳の誕生日を迎えた。89歳である。ここでは何度も書いたけど、腰は少しも曲がっておらず、動きは早く柔軟で、当然だが受け身がとれる。毎日徒歩で稽古にいらっしゃっていて、少しも偉そうでなく、私にさえ敬語を使ってくださる。

こんな人をわたしはほかに知らない。この方に会えたことは私の人生に訪れた幸運のうちのひとつだと思っている。そして家族でもない人の誕生日がこんなに嬉しいなんて。

誕生日おめでとうございます、と言ったら、「ありがとうございます、こうやってみなさんが相手にしてくださってね、本当にありがたい」と言っていた。会話のひとつひとつを私は、からだに刻み込むように、かけがえのないもののように思っている。

故郷に帰りたいと思うことはないか、と尋ねてみたら「帰っても、友人ももうほとんどいないしね」と。「山や海はあるけどね、人がいないとね」。「帰ってもいいんだけど、ひとりで思い出に浸ってもどうしようもないもんね」

なるほど、と思っていたら「今はまだお知り合いとか、友達とかいらっしゃるでしょうからね、大事にしたほうがいいですよ。じゃ。」と言って颯爽と帰っていかれた。

小雨の降る土曜日の朝、7時半。すごく深い言葉をいただいて、この上なく満たされた気持ちで家に帰った。これはどこかに書いておかなければ、と思ったので、忘れないうちにここにかく。わたしはどう生きるのだろうか。

セールの思い出

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