土日勤務が続いた。先日は代休だったので合羽橋に行ってきた。普段だったら出かけること自体を億劫に感じるものだが、この日は出かけたい気分だった。買いたいものが特別にあるわけでもないのに。理由はわかっている。夏のあいだ、東京を離れて各地に滞在し、東京に戻ってきた今、せっかく東京にいるんだから楽しもう、という気持ちになっている。たくさんの人々が目的地として選ぶ都市に、自分は住んでいる。これはとてもラッキーなことで、これは特権なのだ。離れてこそわかるその土地の良さというのがある。東京もそうだ。ただし、日常から離れないと気づかないので、その点やはり長期休みに旅する効果は大きい。
目当てのものがあったわけでもない合羽橋。案の定、あれもこれもと見ているうちに荷物は重くなっていった。買ったものはアイスクリームディッシャー、検食容器、箸、業務用オレガノと業務用コリアンダーそれぞれ100g、お弁当箱のパッキン、シルキー鋏、スケッパー。
合羽橋にいる人たちは海外からの観光客ばかり。たまに日本語が聞こえてくる。
ある店の二階。お菓子の型などが陳列されているが、すべてが業務用。レモンケーキの型なんか、ものすごく大きい。そこで電話で話す年配の店員さんがいた。知人の近況などを聞きつつ、このご時世を嘆いている。「そうだよ…うん…どこも商売たいへんだよ…昭和の夢を見ちゃってるのかもねえ」。映画みたいだ。なるほどと半分聞きながら、この通りがどうか生き残って欲しいものだと思った。
10時の開店にだいたい合わせて行ったが、ハッと時計を見ると12時をまわっている。そろそろお昼かと思いながら歩き、また時計を見たら今度は1時を過ぎていた。お昼を逃すと面倒なことになる。勘で入った蕎麦屋が当たりだった。たぬきそばを食べたが、きゅうりもかまぼこも丁寧に切られていておいしかった。950円。蕎麦屋はテレビがあっていい。客はわたしともう1人だった。ワイドショーの、とことん、どうでもいいことや、洗剤とか保険のCMなどをぼーっと眺めていた。結局何買ったんだっけな、東京たのしいな、なんて考えながら。
消化にもよいだろうと思って浅草まで歩いた。雷門まで行って観光してみようかと思ったが、門に着いたときに少し雨が降り始めた。さっさと退散して地下鉄で帰った。
ところでだいぶ迷って買ったアイスクリームディッシャーは、買って大正解だった。マフィンを作るときにスプーンで容器にうつしていたが、ぽたぽた垂れてしかたなかった。これが解決された。10種類くらいある大きさのなかから店員さんと話し合って決めた。専門店街だけあって、合羽橋は店員がその分野に詳しい。とりあえず勤めている人、ではない。
地下鉄で帰ると、ものすごい雨が降っていた。傘は持っていなかったが万一のためのカッパがあったのでそれをかぶって帰った。