無類のスーパーマーケット好きである。用がないと行かない、というのが望ましいのだろうが用がなくても行ってしまう。日本に住んでいて、ほぼ毎日行く場所だと思う。もっとも落ち着く場所、と言える。
そんな私が海外に行って、スーパーを避けて通れるわけがない。いつまでもいられると思うくらい、興味深い。どの国に行っても必ず訪れる場所。(ただし、屋台文化が活発?な台湾やタイでは行かなかった。見かけなかったと言ったほうがいいかもしれない。)洋服に流行り廃りはあったとしても食べ物は、永遠に、輝ける魅力を燦々とふりまいている。
先日、郊外にあるCOOPに行った。日本の生活協同組合と同じなんだろうけど印象がちょっと違う。日本でCOOPの店舗をこうやって見ることは珍しい。イタリアには結構ある。大型スーパーで、品揃えがすごい。というか凄まじい。メモ程度に写真を撮ってきたのでいくらか書き留めておく。
オリーブオイル。
棚、一列分がずらーっとオリーブオイル。日本ではこの1年で値段が倍ぐらいに跳ね上がった。イタリアではどうなのかなと思い、見てみるとこんな感じ:
€10。今の日本円で換算してざっと1600円。やっぱり高い。日本とあまり変わらない。日本の醤油や味噌以上に、オリーブオイルを多用するイタリア人にとってこれは痛手だろうなと思う。が、しかし。この一週間で訪ねた、いくつかの家庭で「はいどうぞオイルね」と食卓に置かれるものはすべて自家製あるいは生産者から直接買ったのものだ。ボトルをスーパーから買うのではなく、家のどこかに大量のオイルがあって、それが(しょうゆ差しならぬ)オイル差し?に入っている状態。ラベルの貼ってあるボトルではない。つまりどのメーカー、というわけではない。
だとしたら一体誰がスーパーでオリーブオイルを買うのだろう。疑問に思ってイタリア人に聞いてみたところ「このあたりの田舎で買う人なんていないよ」とのこと。生産者から直接買うか、自家製で、大量に家にある。買うのはきっと都市に暮らしている人たちだろう、と。なるほど。
私の実家における米あるいは味噌と同じだ。実家の近所の人たちで、スーパーで米を買っている人たちは、おそらくいない。上京してからスーパーで米を買っている人たちを見て、珍しく感じたのを覚えている。味噌も、その米を持って、作ってくれるこうじ屋に依頼している。
日本人にとっての米と同じようにイタリア人にとってのオリーブオイルは「あって当然のもの」だ。各家庭でのストック量も、500mlの瓶を1本、くらいでは全然たりない。
つづいてヨーグルト。
これはイタリアに来たことのある人しかわからないと思うけどものすごい種類がある。大型スーパーでなくても、その種類の多さはわかると思う。上の写真は、この列すべてがヨーグルト。何メートルも続く。健康志向系から子供向けの甘いものまでずら〜〜っと並んでいる。日本にない種類のものといえばこれなど↓
アヴェーナ(オートミールに使われる麦の一種)とクルミのヨーグルト。
ほかにも、ピスタチオなどは一般的。日本でよくある、カップで4つくっついているヨーグルトよりは量が多い。(まあこの量がむしろ当たり前だろうと思う。)
野菜は測り売りが通常。
スイカ。めちゃくちゃでかい。1kgで49セント、ということは普通の量を買うとだいたいいくらなんだろう。しかし日本のように1000円超えるなんていうことはない。でもより甘いのは日本のスイカだと思う。
デザート。こういうのをパスティッチ、と呼ぶ。日本にもあるけどもっと手軽で一般的で、おいしい。日本よりいいなと思うのは、プラスチックで包装されていなくて、指さしてこれが欲しいといえば紙で包んでくれるところ。お菓子屋さんでなくても、こういうのはある。朝ごはんだったり食後のデザートだったりする。そんなに凝ってなくて、シンプルなのがイタリア菓子の特徴。(たとえばフランスはもっと繊細。)
そして当然ながら、パスタ。いうまでもなく、ものすごい種類がある。イタリアに行くようになって結構な年月が経つが「それ初めて聞いた」みたいな種類が、まだある。おそらく、イタリア人でさえ「へえそんなのあるんだ」と言うパスタがあるのではないか。何種類あると問われてもイタリア人でも答えられないだろう。日本人が「漢字って何個あるの」と問われて「無限?」としか答えられないのと同じように。
会計でいわゆる「セルフレジ」をやったら3アイテムごとに機械が停止し、再開させるには店員のカードを通すが必要で、同じことがすべての機械で起きているために店員が来るまでに待ち続け、結局、会計に40分かかった、というのがこの日のオチである。イタリアへようこそ。