Thursday 17 September 2020

『8 1/2』をようやく見た

「ああ、ようやく涼しくなった」

 暑さがおさまると嬉しいのだが同時に少し切なくもなる。夏の終わりはこんな感じ。気温も湿度も下がってだいぶ過ごしやすい。日々のストレスが軽減されたような感じがする。睡眠の質も上がった感じがする。エアコンの温度設定が気になって途中で起きる、ということがなくなった。

昨日は仕事が休みで、映画を観に行った。ちょうど一昨日の夜、さて翌日は何をしようかなと思いながらふと、フェリーニの映画特別上映が9月まで延長だったのを思い出し検索してみた。席がある。しかもずっとみたかった映画。しかもしかも、時間も問題ない。夏休みはすべて満席だったのに、空席があるんだなあ。迷わず予約したのだった。

見たかった映画というのは8 2/1。イタリア語だとotto e mezzo、日本語だと「はっかにぶんのいち」。古い分数の読み方らしいのだが、変なタイトルだ。ダニエル・デイ・ルイス主演のNINEという映画がある。この8 1/2を元にしたミュージカル版で、原作を見ないままこれを何度か見たことがあった。

マルチェッロ・マストロヤンニがかっこよすぎた。かっこいいというのは、顔がどうのこうのではなく、全体から醸し出されるオーラが。ほかの映画も見たことあるけど、ちょうど年齢的にもこのあたりが一番かっこよかったのではないだろうか、と思った。白髪の混じったぐらいの年齢。そして飾りっ気のないアヌーク・エメが美しかった。二人とも、あのメガネがね。もう、かっこよすぎね。

過去と、現実と、想像の世界が入り混じる作品だ。と聞くとそんなのはたくさんありそうだけど、この8 1/2がそれらにもたらした影響は大きい。なんだって、最初にやった人はすごいのだ。資源や手段の限られた時代に、フェリーニはこの作品を撮った。

クラシックなスタイルは最高だと思う。部屋のインテリアも、車も。服装もそう。帽子、大きすぎず小さすぎないジャケット、きちっとした靴、着こなしにはすべて決まりがある。古い映画を見ると逆にハッとさせられるのだ。タバコを加えて、外の椅子に脚を組んで座り、新聞を広げる。それだけの動作がこんなにかっこいい。(当然だけどデジタルなものはどこにも見当たらない。)こんなにかっこいいのはなぜか?きまりを守っているから。そのきまりはどこに書いてあるのか?書かれてない。書かれてないけど知ってる。イタリアの何がいいかって、クラシックなところ。「きまり」は自然と引き継がれていく。1950年に生まれようが、2020年に生まれようが、ズボンの丈はどのくらいであるべきか、ちゃんと知ってる。

子どもが生まれて4年間、家で落ち着いて映画を見ることがまったくと言っていいほどできなくなったし習慣として遠のいてしまった。たとえ一人で家にいたとしても、2時間もじっとしていられないのだ。それは貴重な2時間であるため、次々にやらなければいけないことを思い出し、動き出してしまう。掃除、洗濯、パンの仕込みなど。それもあって映画館に行ってきちんと時間をとろうと思うようになった。と言っても、見たい映画がいつも上映されているわけではない。今回のように古い名作が特別料金で特別上映されるのはとてもありがたい。面白いとあらかじめわかっているものだと「映画館で見なくてもよかったなあ」と思うこともない。

それにしても最後まで印象にのこったのはメガネでした。かっこいいよなあ。

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