「シルバーウィークにちいかわが見たい」
しばらく前、子が言った。子からの、たいていの「〜したい」を本気で請け合うことはないが特に予定がないのに5日間も休みを抱えているわたしは、今回ばかりは、素直に「それもそうだな」と思えた。土曜に調べてみるとどの映画館も満員ではないか。ちいかわだけが満員。世間での人気はなんとなく感じ取ってはいたが、なんと、こういうことかと思い知った。日曜だったら空きがありそうということで、選んだのはなんと8時45分の回。こんなに早い時間に映画館に行ったことがあっただろうか。それでも、午前中にさっさと用事を済ませたいわたしたちはこれに合意してチケットを買ったのだった。
ちいかわの「ち」の字も知らずに−
ちいかわが一体なんなのかさえ知らずに映画を見に行くとは。キャラクターを見ればそれがちいかわであることは知っている。同僚のなかに何人も熱心なファンがいて、話をしたことがあるのでなんとなく知っている。でもその程度だ。キャラクターの名前もストーリーも知らない。子もまた然り、だと思う。そんなこんなで映画がはじめてのちいかわ経験となった。
劇場は(当たり前だけど)本当に満員で、こんな雨の日に、朝早くから映画を見に来る人たちがいることに驚いた。そしてさらに驚いたのは、そこにいる人たちのほとんどが大人だということだ。こどもの声はほとんどしない。これも世間で騒がれているとおりの「絵は子どもむけのようで内容は大人向け」ということなのだろうか。
さて内容はというと、キャラクターの性格や名前、特徴を知らないわたしなどは、新鮮ではあるもののさすがに前知識が欠けているので「こいつは一体何者なのか」という疑問が次々に湧く。帰ってから調べてみたいことだらけ。途中、なんだか単調でつまらなく感じた。アクションにしてもこの絵じゃ物足りないし笑えるところも特にないし、なんだこんなのにわたしは2000円も払って見に来たのか、何時に終わるのかなと思った。これは本当に正直なところ。
しかし、だ。途中、衝撃が走る。これはネタバレなので書かないでおく。「えっ」と思うところがある。そこから、無事に終わりはするものの、後味は悪い。「おもしろかったね」という、たとえばディズニー映画を見たあとの平和な感想は出てこない。これはつまりどういうことだったのだろう、と考えた。子もまた然り。
帰りの電車で、劇場に入る前にもらった冊子を読んだ。この映画ができる前までの、作者のラフスケッチのようなものが冊子にまとまっている。これが結構ヒントになった。(これは19日から配布されたものらしいので、それより前に見た人にとっては貴重な冊子なのではないだろうか。)家に帰って、ようやく、だんだんと子とおたがいに感想が出てくるようになった。あれはこういうことだったんだ、とか、あれはかわいかった、おもしろかった、など。
夏休みに行われていたセブンイレブンのちいかわコラボで、魚の煮付けがあったらしいが、まさかそういうことだったとは。考えてみるとなんともブラックでおもしろいコラボだったのだ。その写真を見てまた、子と笑った。そのあとも寝るまで思い出しながら考えた。この映画がおすすめかどうかと言われると、おすすめだ。よくある子ども向けの夏休み映画を見るよりは断然いいと思う。
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