長崎に行った。行ってみた。今まで行こうとさえしていなかったのだ。今年はイタリアに行ってないというのもあり、夏休みにお金を使うのが惜しくない。イタリアに行く一人分の航空券を考えると、日帰り旅行の経験をこの値段で買うのは惜しむに値しない。そして、今月は広島にも行ったので、その勢いで長崎にも行こうというわけだ。せっかく8月に日本にいるんだったら、これは貴重な時間なのではないかと思った。
最後に行ったのはいつだっただろう、と考えたが、おそらく小学生の頃。となると30年は経過している。もはや街の様子も覚えていないし、色々なものが変わっているだろう。連れて行ってもらうのではなく自分の足で巡ってみたい。
10時ごろ駅に着いた。新しくてきれいで大きい。こんな駅になっていたとは。昔を知らないけど。観光案内所で地図をもらった。今回訪ねるべき場所は優先順位をつけて決めていた。暑い中で無駄に歩きたくもないから。
駅前から路面電車に乗って、原爆資料館へ。路面電車は広島同様、小さい。そしてわかりやすい。あっちに行くか、こっちに行くか、の二択。ここでもパスモが使えた。よかった。特に指示はなかったけど入る時と降りる時、どちらもタッチをした。広島より接触が良い。
| 駅前。路面電車に乗るには駅を出てちょっと歩いて歩道橋みたいなのを上って降りる必要がある。駅に乗り入れている広島はやっぱり便利だと思う。 |
すぐに資料館へ着いた。いきなり坂が現れて、ああそうか、そういう街なんだよなと思った。がんばっての上る。
広島と同じく200円の入館料。以前を覚えていないけど、資料館は新しくなったらしい。入り口からは螺旋状に降りていく。NYのグッゲンハイム美術館のよう。どうせ広島ほどの規模はないだろうと思っていたけど、展示はとてもわかりやすかった。広島ほど混んでいない。原爆の影響を、熱線、爆風、放射線の3種類にわけて展示してあったのが、頭に入ってきやすかった。
特に、今まで、爆風についてはあまり考えていなかったことに気づいた。これは爆風で変形した仏鐘。ほかに、同じ方向に薙ぎ倒された木々や、吹っ飛ばされた壁の写真を見て、どれだけ強い風だったんだろうと想像した。犠牲者の写真は広島よりも生々しい。これは以前にもそう記憶していた。
展示後半では日本が戦争に向かうまでがよくわかるようになっていて、これは広島と違うと思った。2分くらいのビデオを選んで見られるようになっていた。できることなら全部見たかった。
いかに日本が愚かなことをしたかがよくわかる。だからと言って原爆を正当化はできない。見ながら「う〜ん」と、うなってしまう。記憶が薄れていくのは仕方ないことかもしれないけど起きたことから目を背けてはいけない。
世間の悲惨なニュースについて、知らない方が良い、または考えないほうが良いものもある。こどもが犠牲になる事件などはそう。気持ちがふさぐ。しかし原爆の事実は、向き合っておくべきだと思う。わたしが生まれた時代は偶然の、原爆のあとの時間。長い歴史の、おおきな流れのなかの、この時間に生まれ落ちている。その「おおきな流れ」を汲んで生きるべき。
なんだかんだで1時間半くらい展示を見て、外に出た。平和公園までどう歩けばいいかなと思って受付の人に聞いたら地図をくれた。
とりあえずお昼を食べることにした。ちゃんぽんが名物だけど、担々麺を食べた。有名なお店らしく、かなりの人が待っていたが、それほどの待ち時間はなく入れた。子は皿うどんを食べた。うどんではなくてパリパリ焼きそばだが、正式名称は皿うどん。
朝が25度くらいの涼しさだったが、昼間は気温が上がった。これは参った。公園まで歩いた。平和祈念像のところは式典の片付けがまだ終わっていなかったようだった。暑すぎるせいか人が全然いない。一応観光地だろうけど平日だしこんなもんかなと思った。
それから表示に従って歩いてみたら浦上天主堂が丘から見えたので思い切って歩くことにした。
教会、キリスト教と原爆が結びつくというのは、長崎ならでは、である。信仰っていうのは強いもんだよなと思う。ものが壊れても人の心は壊れない。中のステンドグラスが綺麗だった。
そこからさらにどうしようかと思ったけど、山王神社まで歩いた。これが医学部通りを歩いたのだが、普通の道な上に日陰がなかった。暑い。表示によれば1.1km。小さな日傘の下に身を寄せ合って、がんばって歩いた。
大学病院付近で道がわからなくなった。花屋さんに聞いたら親切に教えてくれた。あとから父にそのことを話したら「修学旅行の生徒たちに慣れているから優しい」そうだ。なるほど。
有名な一本足の鳥居とクスノキは、住宅のなかにあって、道も細いし、わかりにくい。それでも表示があるので歩ける。りっぱなクスノキだった。
この時、暑さと疲れはピークに達していて、子はもはや、視界に入るものが頭に入っていたのか怪しい。顔が真っ赤になっていた。
途中、セブンイレブンというオアシスに立ち寄り、アイスクリームを買って食べた。浦上駅前から路面電車に乗り、長崎駅へ。シンプルなルートだ。
駅でおみやげを買って帰った。福砂屋に行ったら、カステラではなくオランダケーキというものがあったので、これは食べてみたいと思った。
今回歩いたエリアは、地図では北のほう。南はまったく行っていない。眼鏡橋も中華街も出島も南にある。長崎が外国とやりとりをしていた歴史に興味があるため、今度はもう少し勉強をして、そちらのエリアに行ってみたいと思う。