Sunday 15 March 2015

土曜午後、公園にて

昨日ちょっと嬉しいことがあったので書いておく。

午後、あまり寒くなかったので公園に行った。テーブルクロスぐらいの大きさの布をいつも公園には持っていく。それを敷いて、村上春樹の『東京奇譚集』を読む。何度か読んだはずだが、久しぶりにまた読みたくなった。もう内容は忘れていたらしい。「ハナレイ・ベイ」と「日々移動する腎臓のかたちをした石」を読んだ。後者に魅了されてしまった。こんなに素敵な話だったとは。最近「村上さんのところ」を毎日読んでいて、村上春樹がどういった考え方をしていて、どういったスタンスで小説を書いているかというのがよりよく分っているせいかもしれない。より面白く読めた。素敵すぎて、完全に魅了されてしまった。しかも、気づいていなかったけど「蜂蜜パイ」とどうやら連続した話であるらしい。

少し寒くなってきたので帰ろうかなどうしようかなと思いながら立ち上がった。歩いているうちに、サックスの練習ができそうな場所を見つけた。あまり人に迷惑にならずに済みそうだ。ほんとうに人に聞かせても大丈夫なくらいに上手だったなら、と思った。どこで吹いてもみんなが寄ってくる―投げ銭がある―ぐらいに上手だったら良いだろうになと思った。

音を出すだけでも練習になる。時間が空いてしまうと口のまわりの筋肉が弛むので、すぐに痛くなってしまうのだ。

それで、アメイジング・グレースを練習していたときに、人が近づいてくるのがわかった。外国人の観光客だった。スマホを向けられたのでピースサインしてみたら、「録音してもいいか」と訊かれた。フェイスブックとかSNSにはあげたりしないから、と。まだぜんぜん上手じゃないですよ、と言ったものの、少しだけ吹いてみた。コロラド州デンバーから来たという男性だった。仲間と歩いていたら、この曲が聞こえてきたので嬉しくなって、音の出ている方向へ来たら私がいたらしい。「母がこの曲をとても好きなので、動画を送ってあげようと思うんだけど、いいかな?」と言われたのでオフ・コースと答えた。握手をして、エンジョイ・ユア・ステイ、と言って分かれた。

下手だと自分で思っていたり、周りにどう思われているんだろうと気にしていたりすると控えめな演奏しかできない。だけど、下手でもなんでも、このアメリカ人には関係無かったし、アメイジング・グレースはアメイジング・グレースだった。下手だから、と自分ひとりで思っていたに過ぎなかったわけだ。そして私の音が、少しでも他人を幸せにした。それが単純に嬉しかった。もっと上手になりたいなと思った。スタジオをレンタルして練習するのもいいけど、あえて人が聞いていそうなところで練習するのはより効果が大きいのではないかと思った。語学でも同じだけど、やっぱり自信を持つってほんとうに大事なのだ。

いっさいはんは最強

 1歳半。 めいは1歳半である。26日から帰省していて、弟の一家と一緒に過ごしている。姪が2人。ひとつ屋根のしたに8人がいる状態。たいへん賑やかでいつもどこかから泣き声やわめき声が聞こえている。こどもの声は高くていい。なかでも1歳半の姪は、もうどこを切り取っても、おもしろくて、た...