8日。前日の夕方、来年度の人事が発表されて納得のいくものではなかったので心が落ち着かない。喉と心臓の間あたりが痛いようなつっかえるような感じ。ふと気づくと呼吸が浅い。眠りも浅い。5時前に目が覚める。
5時。外は暗いのに大きめの雪がしっかり降っていて驚く。紅茶をいれて新聞読む。
6時過ぎ。PCをみていると、メッセージが届いていることに気づいた。「生まれました」。なんと、姪っ子が生まれた。気づいたらその日はフェスタ・デッラ・ドンナ。国際女性デー。日本ではたぶあと50年経っても定着しないであろう国際女性デー。イタリアではミモザをもらっていろんな人からauguriって言われる国際女性デー。すごくいい日に生まれてきたなと思った。夜中の12時過ぎだったらしいので、まさに8日になってちょっとで生まれてきたわけだ。ようこそこの世へ。
そして、狙ったわけじゃなかったけどわたしは8日が子宮頸がん検診とマンモグラフィの日。仕事が休めるのがちょうどこの日だったから8日にしたわけだが、うまい具合に国際女性デーだった。3月は婦人科検診、ということになっている。なっている、といっても自分のルール。病院からお呼びがかかるわけでもないけどなんとなく3月。ひなまつりもあるし?もしかしたら当初そう思ったのかもしれないけど。そもそもミレーナを入れているのでもっと頻繁に婦人科には通っているが。
さらに出かける時にバッグに入れたのが川上未映子の『ウィステリアと3人の女たち』。川上未映子といえば我々の世代を代表するフェミニスト。ようやく最近、(真冬に)『夏物語』を読み終えて、それはもう面白かったのでウィステリアも読んでみた。1つは柴田元幸のMonkeyに載っていたのと同じものだったので、あれ、これこの前読んだなと思った。その他3編も、これでもかというくらい「女」な短編でした。
3月8日、これだけの要素が偶然にも勢ぞろいするなんて。
女たちおめでとう、この生きづらくもすてきな世の中を、楽しんで、女に生まれたことを、楽しんで、しっかりと地に足をつけて、誰がなんと言おうと、前を向いて、女でよかったと思えるように。
健診はあっという間に終わり、お茶の水の丸善でいつものように本を見てまわる。こんなに充実した本屋さん、どうしたってつぶしてはならない。いや別につぶれるという話が出ているわけではないけど、今実際の書店というのは消えゆく存在だから。ここにいる人たちは、何は無くとも立ち寄ってしまう、という種類の人たちだろうなと思った。
帰宅する頃には晴れてた。12時ちょうど、水菜とツナと卵とナッツのサラダを作って、食べた。
天気と一緒に気分も晴れてきた。納得のいかない人事について愚痴りたくて、とにかく誰かと話したかったので、そして自転車に乗りたくなったので、きょうは勤務しないはずだったのに結局仕事に行っていっぱい働いた。話している間に、いつものようにスッキリしてきた。あらためて人事の表を見てみたら、たいへんじゃない人なんていないなという気になってきた。これもあらたな試練なのだろうしこれを乗り越えたらたぶんもっと生きやすくなってくるのだろうと思ったら、しゃべっている3時間のあいだにもう受け入れられるようになっていた。
家に帰るときはとても元気で明るくなっていた。世の中には職場に行って元気がなくなる人もいるのかもしれないがわたしはその逆である。もちろん休みは必要だけどだいたい職場で元気になる。そして自転車に乗っている間に新しい考えが浮かんだりする。
家に帰ると家族が待っていて、いちごのケーキが完成するところだった。ありがとう、と伝えて「きょうはいい日で、わたしは嬉しい」と声に出す。