「おたまじゃくしの101ちゃん」というかこさとし作の絵本がある。子の保育園ではそれをもとに「101ちゃんごっこ」をやっているらしい。きっとこれで12月の発表会が行われるのだろう。ストーリーの一部に、「101ぴきのおたまじゃくしのおかあさんが、ざりがにとタガメのあらそいに巻き込まれ、死にかけるのだが、こどもたちが泣いていると生き返る」というところがある。
さて、子に何の役をやるのかきいてみたら「たがめだよ」という。ザリガニだったこともあるらしい。役の振り分け方は、先生が振り分けるのではなく、こどもたちが自分の好きなものを選んでやる。毎年そういう感じだ。「ほかの役にはなりたくなかったの?」ときくと、「うん」と。
しばらくして、ふと、
「ぼくはおかあさんが死んじゃったところで泣くのがいやなの。だからおたまじゃくしやりたくないの」
と言った。
「なるほど、そうなのね」
と言うとそれ以上何も答えなかった。小さいなりにきちんとした理由があるらしい。泣きたくない理由が何なのかはわからないが、そこで私も納得した。いいぞ、行け、たがめ。
それにしても、たがめがどんな生物か知っているのだろうか。考えてみれば私だって実物を見たことはない。
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先日、誕生日だった。久しぶりに買い物をしてみようと思って電車に乗った。なんと2ヶ月ぶりの電車である。大した距離でもないのに車酔いみたいになった。そして人がいるのが疲れる。そして電車の待ち時間と乗っている時間がとてつもなく長く感じた。
さらに、買い物に行っても欲しいものがない。何もないのだ。アップルストアに行ったら店舗で買うよりオンラインで買ったほうが早いですと言われた。服も特にピンとくるものがなかった。「ユニクロのほうが品質いいんじゃないか」と思える。結局買ったのは、手ぬぐい一枚。しかも、同じ柄の手ぬぐいを買うのがこれでなんと3度目である。ちなみにたまごの柄。一枚目の色がくすんできたときに、2枚目を買って、今2枚目を使っているところだが、結局また3枚目を買うのだろうとわかっているので、同じものを買った。あんなにたくさん柄があるのに信じられないと思うだろう、普通の人なら。
選ぶ楽しさ、もあるけど、選ぶことでエネルギーも使っている。自分の好きなものが確定している場合はそれを貫けば良いと思う。ちなみに私はまったく同じスニーカーを三足持っている。黒いニューバランス。少し違う黒いニューバランスも入れると四足になる。それでも、黒のニューバランスが一番好きだというのは10年以上変わらない事実なので、ここは迷わず買っておいた。黒が発売されない時に買い替え時期が重なると、困るのは目に見えている。
誕生日記念に新しいiPadでも買おうかと思っていたのだが、そのために今持っているものの容量を空っぽにしてみたら、快適に動くようになったので、新しいものが欲しいと思う気持ちもなくなってしまった。
それにしても、ほんの2、3時間街を歩いただけでこんなに疲れるなんて。目的なくふらふらするのもかつては楽しかったはずなのに。コロナによる変化のひとつだろう。オンラインで買い物したほうが断然いいと思った。