Saturday 16 March 2019

救急車 その2(アナフィラキシー・ショック)

木曜日、4時に迎えに行った。新年度のため改めてアレルギーの書類を書いてくださいと受け取り、それについて翌日の4時に園長先生と面談するという話になった。

私はこの日年度末の忘年会だったため5時半には家を出ようと思っていた。こどもはイタリア人とともにパスタを買いにスーパーまで行った。

5時すぎ。帰ってきてすぐに「お風呂に入ろうか」というと大人しく入った。だいぶ早いけどまあいっかと思って一緒に入ったものの様子がおかしい。声が枯れている。顔色もおかしい。青いような黒いような色をしている。反応も鈍い。「いたい」と言いながらおなかをひたすら掻いている。だんだんと目が閉じてきた。風邪かな、どうしたのかな、胃腸炎が流行ってるとも聞いたからそれかもしれないなと思いながら「髪洗うのやめとこうか」と聞いたが、ウトウトし始めてほとんど反応しない。「おふろあがる?」と言ってもほとんど眠るような感じになってきて反応がない。乾かしてもらおうとタオルでくるんだところ、吐いた。

ああやっぱり胃腸炎か、と思った。大丈夫だよ心配しなくていいよと言いながらちょっと洗ってあげた。吐くと毎回本人はそうとうショックを受ける様子で、さすがにちょっと泣いていた。

着替えを頼んで、私はゆっくりお風呂から上がろうと思っていたところ、大声で名前を呼ばれた。こどもが相当やばいらしい。早く救急車を呼ばないとやばい、と。急いで着替えてこどもの様子を見ると、ぐったりしている。慌てて小児科に電話すると「救急車すぐ呼んで」と言われた。

そして、スーパーに行く途中で会った知り合いからもらったクッキーのなかにピーナッツが入っていたということがわかった。

救急車を呼んだのだが到着するまでに結構時間がかかった。車が来ない代わりに救急隊の人たちが到着した。それから救急車を待った。その間、子供は大変なことになっていた。思い出したくもないくらい。白目をむいて、ぐったりしていた。父親は「目覚まして」と叫び続けている。手を握り返せますか、と救急隊の人から言われたのでやってみたがまったく握り返さない。何の反応もない。声も出ない。消防車のおもちゃを持ってきて、「ほら消防車だよ」と言っても反応がない。

それでも完全に目が閉じていたわけではなかったので絶望的にならずに済んだ。焦ってもどうしようもないとわかっていた。

どれくらい時間がたったかわからないけど救急車がやってきた。救急車を見てこどもがようやく「いすず」と反応した。おお、よし、だいぶましになってきたぞ、と思った。救急車に乗る頃には最悪の状態を脱したと思った。が、乗っている途中でまた同じような症状になった。つまり目を閉じて反応がなくなっている。一生懸命名前を呼んで、起こそうとした。私の両親に電話をした。今考えてみるとあれは、知らせなければいけないというより、こどもを直視できなかったので何かしら他の行動を取ろうとした結果なのかもしれない。たぶんその電話をした前後だったと思うが、その日初めて「これは本当にやばいかも」というネガテイブな感情が出てきた。心臓がドキドキするのがわかった。まさか、そんな、頼む、と思った。まさに生きた心地がしなかった。

自分の体のことではないのに、自分の体が切り刻まれるかのような気がした。

病院に着いてからは最悪の状態は脱していた。医師と看護師は結構のんびりした感じで対応した。「今すぐ注射しなければいけない、というような感じではない」と言われた。しかし「このまま帰らせるわけにはいかないので入院」と言われた。

採血、点滴、レントゲン撮影を経て入院の説明が始まり、部屋に通された。

9時過ぎだったか、子供が寝た。私はまだ神経が尖っていて、呆然としていた。wifiのパスワードを看護師に聞いたりしていたところで荷物を取りに一旦家に帰ってくれていたイタリア人が戻ってきた。

二人で寝息をたてる子供を見たら、いっきに力が抜け、涙が溢れてきた。本当によかった、無事でよかった、と。元気でさえあれば他に何も要らないと思った。どんなに泣き叫んでも、わがまましてもいいから、元気でさえいてくれれば良い。救急車で味わったあの感じは、もう二度とごめんである。

そのあとも、寝る気にはなれず、暗い部屋で二人でこどもを眺めてぼうっとしていた。思いついたこと(「なんとしてでも守ろう」とか「この小さい身体でどんな辛かったろう」とか)をぽつぽつと呟きながらも、ほとんどは静寂だった。

買ってきてもらったコンビニの弁当を食べて、突然襲ってきた空腹を抑えた。こんなベッドで眠れるのかなと思いながらも予期していたよりだいぶ深い眠りについた。

二日連続で救急車に乗るとは。こんなことは人生で滅多に起こるものではない。

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