Thursday, 6 March 2025

日本の教育は困ったことになっている

 5日。毎年三月恒例の婦人科検診。かれこれ20年前、治験で関わったのがきっかけで知った病院だがとても良いので結局20年間通い続けている。家の近くではないけどなにかと自分にとって都合が良く慣れた、なによりも信頼できる病院。

特に決められたわけではないが3月になると検診を受けている。ここ数年はマンモグラフィもこの病院で受けていたのだが、区の助成を受けたことがなかったのでマンモグラフィだけは4日に、区の施設で受けた。あっという間に終わった。値段も安いしこれでよいのかもしれない。

5日に戻る。9時半受付だと知ってはいたが、9時ごろに着いた。天気も悪いし交通機関の乱れもあるだろうし、なによりも朝8時ごろに家を出るのに慣れている。あえて遅くする必要もない。で、こんなに早く着いたのにもう受付できて、ほかに人もおらず、9時半には終わってしまった。早すぎる。びっくりした。検診以外にも診察で時々通っていたが、もう検診だけでいいでしょう、ということになった。つまり次に来るのは1年後か。

とにかく寒い1日。小雨が降り続いている。11時ごろには家に着いて、早めにお昼ご飯を食べた。1人しかいないのでチャンスだと思ってNetflixを見た。ひとりで座って映画やドラマをみる時間なんてほとんどない。というか、時間があっても家にいるとパンを焼いたり掃除したり、ほかのことに手を出してしまうのだ。

午後、ふと気づいたらきょうは息子の保護者会だった。行かねば。どうしようかなと思ったけど、行かねば。準備する学校側の気持ちがわかるだけに、行くことにした。来年度の連絡があるだろう。でも、崩壊ぎみの学級懇談になって、いったいみんなどういう話をするのだろう。気まずくないのだろうか、と思った。

思いながら、クラスに行くと、誰もいない。同じように迷っている人がいたので「すみません、保護者会どこでしょうかね」ときくと「やっぱりここじゃないんですね」と言って調べてくれた。体育館らしい。知らないお母さんだったけど2人で歩きながら話した。スマホを見ながら「あれ、、でもおかしいですね、ほかの学年はぜんぶクラスでやるのにこの学年だけ体育館だって。」という。なるほど、おそらくうまくいっていないから、クラスになっても気まずいのかもしれない。先生に文句が出たり保護者どうしが不機嫌になったら、クラス懇談はうまくいくわけがないのだ。正解はないけど、わたしはそう見た。

来年度の説明などが、30分くらいで終わってしまい、お開きになったが、最後に担任が挨拶をするということで、クラスごとに、席はなく、体育館で立ったまま、担任を囲むことになった。パイプ椅子を保護者が片づける。ある組だけは、体育館ではなく教室に移動になった。

なんだか変な感じがした。

それで、子のクラスのところにいくと、保護者の人数はまあまあいる。先生を囲んで立った。担任から「ご協力ありがとうございました」と言い始めたとたん、なんと泣き出してしまった。「自分の指導力が足りなくて、2学期くらいから、うまくまとめられなくてすみませんでした」と言いながらボロボロ泣いている。なぐさめようにも大人どうしで、なんだかどうしたらいいかわからず周りの保護者もオロオロしている。「できる限りの形で、あと少しがんばります」と言って、終わった。

帰り道から夜までなんだかいろいろ考えてしまった。先生はこんなに追い詰められて、どんなにつらいだろう。そして先生の家族のことも考えてしまう。2学期に1週間くらい先生が休んだことがあったけど、あれはほんとうに限界だったのだろうと思う。

子どもたちがさわぐ→先生が注意する→保護者に報告する→保護者は子の味方になる→先生が生徒を注意できない→生徒はもっとさわぐ→崩壊→先生寝込む、ときに辞める

この悪循環をたちきれない。子のクラスメートからの話を、子づたいに時々聞くが、保護者は先生のことをさんざん言っているらしい。学校から電話が来たときの親の様子を、子供たちはよく見ている。「先生は先生辞めるべき」とか、電話が来たら話をきいてるふりをして寝たりとか、しているらしい。

先生は泣きながら「教室のほうも、素敵な絵が飾ってあるのでぜひ見て行ってください」と言った。最初から教室でやればよかっただろうに、たぶん先生が場をもたせることができなかったんだろう。なんだか悲しい気持ちになりながら子供たちの絵を見に行ってきた。この絵を壁に貼ったのは先生だろうか。誰かと話しながら楽しくやったのだろうか、それとも業務に追われながら、疲れてやったのだろうか。そのとき、さっき体育館ではなくクラスにいった1クラスが見えた。校長と副校長が話をしている。あとで子にきいたら、どうやらこのクラスは先生がいなくなったらしい。

日本の教育は困ったことになっている、というのは、ニュースなどではきくけど実際にこういうことか、と小学校を見てはじめて実感している。

イタリアだったらどうだろう、と家で話した。「先生は泣かない。」確かに。「生徒が勝手に何かしたら怒る。」

言われてみれば当たり前なのだがこれができない状況にあるのだ。親に責められ先生たちは病む、そして辞める。なり手がいない。学校が機能しないと、行き着く先は塾である。

日本の教育は困ったことになっている

 5日。毎年三月恒例の婦人科検診。かれこれ20年前、治験で関わったのがきっかけで知った病院だがとても良いので結局20年間通い続けている。家の近くではないけどなにかと自分にとって都合が良く慣れた、なによりも信頼できる病院。 特に決められたわけではないが3月になると検診を受けている。...