電車から降りて、改札を出てから、地面が濡れていることに気付いた。花屋がそこにあるので、おじさんも大胆に水撒きをしたものだ、と思ったら、それは雨が降っているためだった。どうやらおじさんの仕業ではなかったらしい。
帰宅してすぐに、服を脱ぐ。だいぶ涼しくなった、と思う。水の入った鍋を火にかけて、テレビをつけると、すぐ聞こえてきたのが、有名な日本人俳優の名前だった。
「俳優の緒方拳さんが―」
なんとなく嫌な予感がした。こういうときはたいてい、訃報なのだ。NHKのニュースが突如として、俳優の名前を挙げるとしたらそれは、国際的な映画祭で受賞をしたか、訃報か、あるいは覚せい剤所持か、原因はそのへんに決まってるのだ。
予感は当たった。
緒方拳が死んだ。
そこそこの、喪失感に襲われた。知り合いでも、大ファンでもないのだが。
彼が一番活躍していた時期に、私はまだ生まれていなかった。自動的に、有名な大河ドラマ、太閤記での格好良さもよく分からない。
ただ、この国は、すごい人を失ってしまったぞ、と思った。偉大なる人材の喪失。
トマトを刻みながら、しみじみ彼の死を悼んだ。
パスタが茹で上がった。完成して、食べようとテレビの前に座った瞬間
「えー、たった今入ったニュースです」
ノーベル賞が決まったのだ。3人の日本人が受賞した。
驚いた。
とても喜ばしいと思ったと同時に、なんとなく妙な、不思議な気持ちになった。奇しくも、緒方拳の訃報と同日である。大きなニュースが二つ。
これによって緒方拳の死が人々の印象から薄れるのかもしれない、とも思った。しかし逆に、同日ということがかえって、あることについて考えさせる機会を与えているともいえる。
あること。
それは、日本の抱えている人材について。日本人について。日本について。
「3人。へぇー。捨てたモンじゃないっすね」
という街頭インタビューが、きわめてありきたりなのに、いちばん印象的だった。
今日ももうまぶたが下りてきたのでそろそろ寝たほうが良さそうです。おやすみなさい。
Tuesday, 7 October 2008
無理がきかない歳
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