この家には幸いエアコンがあるので夜は問題無くよく眠れる。
8時ごろ家を出て、近くのカフェで宿題を済ませ、学校へ行った。午前中、ひさしぶりに本物のめまいというものを体感しました。原因は、暑さだと思う。水も飲んでいたが、それでも足りていなかったのだろう。学校が終わってからまっすぐどこかに出かけようと思っていたのだが、断念した。めまいがするというのに敢えてこの暑さの中に外に出るというのは馬鹿げている。太陽から逃げるように家に帰り、パスタをゆでて、洗濯物をしながら、もう少し暑さが治まるまでゆっくり過ごした。それにしてもイタリアの洗濯は長い。しかもこの洗濯機、表示が全部消えている。一体ダイヤルをどこにあわせれば何が行われるかまったく分からないので、勘を頼るしかない。洗濯が終わったらそこで止まってしまうので、「すすぎ」自分で探さなければいけない。よし今度こそ脱水だ、と思ってダイヤルを回すと、勢い良く水が流れて来てすすぎが始まったりする。
延々と続く洗濯がようやく終わり、4時ごろ、バルジェッロ美術館に向かった。列も何もできていないので、チケット売り場がどこなのか分からなかったぐらいだ。
フィレンツェには何度も来ているのに一度も入ったことが無かったmuseoである。入るなり、装飾が目を引いた。
まずは一階をゆっくり見た。この眠っている像がとても気に入った。起こしたら本当に起きそう。
これはアドニスの像。ケガで切った跡から血が流れる様子まで表現してある。この血からアネモネの花が咲いたと言われる。
あれ、これは作者を忘れてしまった。
何よりも興味深かったのがドナテッロ作のダヴィデでした。ダヴィデ像といったら通常思い浮かぶのは、あのミケランジェロの像ですよね。だけどドナテッロが作ったのはこの、帽子をかぶった少年。一応足下にはゴリアテの首があるけど、通常のイメージからはだいぶかけ離れている。
今日、あるイタリア人の先生に聞いたら、当時このドナテッロのダヴィデ像は相当センセーショナルだったらしい。「がっしりとした体つきのダヴィデしか描かれていなかったのに、これは、言ってしまえばゲイっぽくて、しかも少年だし、ヌードだし、帽子までかぶっちゃってる」
実際に見て思ったけど、もはや艶かしく、セクシーなのです。
一方でこれはヴェロッキオのダヴィデ像。
よりこざっぱりした感じがする。でもなぜ並べて展示してあるのだろうか?2つの像の関係は?
ちなみにドナテッロ作ダヴィデの制作は1440年らしい。2015年の今もしっかり見られるのは有り難い。
4:45ごろになると展示室にあるあちこちのドアが閉まり始めた。嫌な予感がしたのだが、的中した。5時閉館なのだ。せめて6時だと思っていたのに。半分も見られなかった。失敗した、と思った。しかも5時閉館だからといって5時に閉めたりはしないのがイタリア。5時というのは彼らが退勤する時間なのだ。15分前にはお客を追い出していないと仕事が完了しない。あと15分ぐらい見せてくれてもいいじゃないかと思ったけど、「早く出て」とみんな怒ったように急かすので、しぶしぶ美術館を去った。うーん。ダヴィデを見られただけでもラッキーだったと考えよう。